当院の中絶手術方法について

2つの中絶手術方法
「吸引法・ソウハ法」について解説

人工的に妊娠を中断する方法である中絶手術(人工妊娠中絶)。
妊娠初期~中期に行われる手術ですが、主に妊娠12週未満の初期に行われることが多いです。

初期中絶で行われる代表的な方法には、「吸引法」「ソウハ法」の2種類があります。

ここでは、妊娠初期に行われる中絶手術について、
● 吸引法とはどんな方法なのか
● ソウハ法との違いは何か
● 身体への負担や手術時間はどれくらいか
といったポイントを分かりやすく解説します。

吸引法とソウハ法の説明イメージ

中絶手術「吸引法・ソウハ法」
の違い

妊娠初期に中絶手術を行う場合、吸引法・ソウハ法が代表的な手術方法です。それぞれどのような方法の手術なのか見ていきましょう。

吸引法とは

吸引法とは、子宮内にストローのような形状の器具を挿入して赤ちゃんとなる内容物を真空状態で吸い出す方法です。 日本ではソウハ法に比べて実績が少ないものの、対応しているクリニックも増えています。

特に、ソウハ法と比べて手術時間が短く身体への負担が少ないのがメリットとされています。 また、子宮穿孔・子宮内遺残・出血など手術による合併症のリスクが低いことからも、WHO世界保健機構や国際産婦人科連合に推奨されている方法です。WHO世界保健機構では特に妊娠12~14週までの外科的中絶の場合に吸引法を推奨しています。 静脈麻酔を行って手術をするため基本的には痛みも感じません。

ほとんどの場合術前処置も不要で、さくま診療所では、出産経験が無い方のための術前処置としてラミナリアという器具を入れ、子宮口を徐々に広げておきます。(経腟分娩のご経験がある方でも、10年以上経過している場合は前処置が必要です。) (まれにソウハ法と同様に、子宮口を広げる処置が必要になるケースもあります)

心配になる費用ですが、ソウハ法との差はほとんど無いとされており、10万円前後で行っているクリニックが多いです。

ソウハ法とは

ソウハ法とは、器具や鉗子を子宮内に挿入し赤ちゃんとなる内容物を直接掻き出す方法です。現在のところ日本では吸引法より一般的によく知られた方法で、主流となっている方法と言えます。

ただし吸引法と比較すると、母体への負担が大きいことがデメリットです。特に手術時間は吸引法と比べて長く、子宮内で炎症や出血が起きるリスクや子宮穿孔・子宮内遺残などの合併症リスクもその分高くなります。また、術前措置として子宮口を広げる必要があり、痛みを伴うケースもあります。

メリットとしては医師の手によって内容物を掻き出すため、子宮内の状態を手で確認しやすい点です。

中絶手術「吸引法・ソウハ法」
の違いを比較

ご紹介した内容を踏まえて、吸引法・ソウハ法の違いを一覧で比較しました。

項目 吸引法 ソウハ法
前処置 子宮口を広げる処置が必要
(10年以内に経腟分娩経験のある方は不要)
子宮口を広げる処置が必要
(10年以内に経腟分娩経験のある方は不要)
費用 10万円前後
※手動吸引法(MVA)は追加費用2万円がかかります
10万円前後
リスク 少ない 多い(子宮穿孔・子宮内遺残・出血・炎症など)
メリット 手術時間が短く、身体への負担が少ない 日本における実績が多く、対応クリニックが多い
デメリット 日本における実績が少なく、対応クリニックが少ない 手術時間が長く、身体への負担が大きい
痛み 基本的に感じない 基本的に感じない
特徴 WHO世界保健機構・国際産婦人科連合で
推奨されている手術方法である
現在の日本で主流となる
手術方法である

さくま診療所では吸引法を採用

さくま診療所では、中絶手術において吸引法を採用しています。
自動吸引法(EVA)・手動吸引法(MVA)の両方に対応しており、 使用する機器の滅菌・洗浄を徹底することで、感染症リスクの低減に努めています。

また、痛みを可能な限り抑えるため、「無痛人工妊娠中絶手術」を採用しており、
痛みを伴う筋肉注射は使用しません。静脈麻酔後に手術を行うため、 手術中に痛みを感じることはほとんどありません。

手術後は麻酔が覚めるまで院内でお休みいただきますが、 比較的早く目が覚め、その日のうちに歩いてご帰宅いただけます。
日帰りで手術が完了するため、仕事などで長くお休みが取りにくい方にも、 負担を最小限に抑えやすい方法です。

中絶手術の費用(妊娠12週未満)

  • 妊娠10週未満:
    79,000円(税込)
  • 妊娠10週〜12週未満:
    104,000円(税込)

初診料・診察料・検査料・採血料・土日割増などは基本的に不要な、シンプルな料金設定です。
なお、手動吸引法(MVA)をご希望の場合は+20,000円の追加料金が必要です。

自動吸引法(EVA)と
手動吸引法(MVA)の違い

吸引法には自動吸引法(EVA)手動吸引法(MVA)の2種類があります。
どちらも仕組みは同じですが、使用する器具・吸引方法・身体への負担に違いがあります。

自動吸引法(EVA)

金属製のストロー状器具を使用し、機械によって自動吸引を行う方法です。

身体への負担は比較的少ないですが、プラスチック製の器具を使うMVAと比較すると、 組織を傷つけるリスクがやや高いとされています。

吸引は機械が行うため、安定した吸引が可能で、日本では広く採用されています。

手動吸引法(MVA)

プラスチック製の柔らかい器具を使用し、手動で吸引を行う方法です。

金属より柔らかいため、子宮・子宮頸管を傷つけるリスクが低いとされ、 より新しい吸引法として世界的にも推奨されています。

身体への負担が少なく、痛みや出血のリスクも低いとされていますが、 対応クリニックはまだ多くなく、追加費用が必要な場合があります。

どちらが良いの?

総合的には、手動吸引法(MVA)の方が身体への負担が少ないとされています。 ただし、対応できる医療機関がまだ少ない点がデメリットです。

さくま診療所では、EVA と MVA の両方に対応しており、 MVAは+20,000円で選択していただくことができます。

中絶手術
「吸引法・ソウハ法」後の生活

中絶手術後の体調や生活の目安についてまとめました。仕事復帰のタイミングや注意すべき症状、 食事・性生活の再開タイミングまで、重要なポイントをわかりやすく解説します。

仕事復帰について

手術後は2〜3日は安静にすることが推奨されています。

術後の経過に問題がなければ、翌日からデスクワークに復帰する方もいます。 ただし、立ち仕事や力仕事などの負担が大きい仕事は3日程度控えるのが安心です。

術後の注意点

以下のような症状があれば、すぐに医療機関へ連絡してください。

  • 発熱
  • 強い腹痛
  • 大量の不正出血

また、術後は貧血になりやすいため、鉄分・たんぱく質をしっかり摂取することが大切です。 刺激物や飲酒はしばらく控えましょう。

性行為・妊娠について

性交渉は生理が再開してから行います。 術後すぐに性行為を行うと子宮内感染のリスクが高まります。

術後30〜40日ほどで生理が再開することが多く、身体が回復したサインでもあります。

※吸引法とソウハ法で大きな違いはありませんが、吸引法の方が身体への負担が少ないため、 より早い回復が期待できます。