中絶コラム

中絶手術後の感染症とは?症状・原因・受診すべき危険サインを詳しく解説

中絶手術のあと、発熱や痛み、出血が続くことで不安を感じることもあるでしょう。術後の体は妊娠前の状態へ戻ろうと大きく変化するため、軽い不調が出ることは珍しくありません。

この記事では、中絶後に起こりやすい発熱や痛みの特徴、感染症につながる危険なサイン、受診のタイミング、検査の流れ、将来の妊娠への影響までを順番に整理して解説します。また、術後の過ごし方や感染症を防ぐケア、クリニック選びのポイント、よくある質問もまとめました。

本記事で必要な知識を押さえておけば、体調の変化に気づきやすくなり、早めの行動につなげられるでしょう。

目次

中絶手術後に感染症が起こる主な理由

術後に感染症が起こる理由はいくつかあり、手術でできた小さな傷が炎症のきっかけになることもあります。まずは、どのような仕組みで感染が起こりやすくなるのかを整理し、術後の体で注意しておくべきポイントを把握しておきましょう。

中絶手術のあと、体は回復に向かう途中にあり、細菌が入りやすい状態がしばらく続きます。感染が起こる理由を知っておくことで、日常生活で気をつけるべき行動がわかり、症状の早期発見にもつながるでしょう。

子宮頸管が開いた状態が続き細菌が入りやすい

手術後しばらくは、子宮の出口である子宮頸管が完全には閉じていない状態が続きます。この時期は、外部から細菌が入りやすく、体の防御力も下がりやすいため、感染が起こりやすくなることも。普段なら問題にならない細菌でも、術後のデリケートな状態では炎症のきっかけになります。

体の回復が順調なら頚管は次第に閉じていきますが、その途中で無理をすると感染のリスクが高まるので注意してください。痛みや違和感が強まる場合は、体が負担を感じているサインの可能性があります。

外から同じように見えても、内部では回復が続いているため、この時期の行動は慎重にすることが大切です。

粘膜の傷から細菌が侵入して炎症が起こる

手術によって子宮の内側には細かな傷が生じ、時間とともに治っていきますが、治りきるまでの間は細菌が入り込みやすい状態が続きます。小さな傷でも細菌が付着すると炎症が広がり、発熱や強い痛みとして症状が現れることも。

粘膜の傷が回復するまでには個人差がありますが、無理をすると治りが遅れやすくなります。軽い腹痛やだるさが続く程度なら自然な変化の範囲ですが、痛みが増す、熱が上がる、出血が強まるなどの違和感があれば早めの相談が必要。

傷が治る過程を守るためにも、術後の行動には注意が求められます。

遺残組織が細菌繁殖の原因になる

手術後にごく一部の組織が残ってしまうことがあり、これを遺残組織といいます。この組織が残ったままになると、細菌が増えやすい環境ができてしまい、炎症や発熱の原因になることがあります。出血が長引いたり、血の塊が多く出る場合は、この状態が隠れているかもしれません。

遺残組織が自然に排出されることもありますが、自己判断で様子を見るのは危険です。強い痛みや発熱、出血が続くときは、必ず医療機関で確認してもらいましょう。

遺残妊娠組織(RPOC)は感染や炎症の病巣となる可能性があり、出血、血液製剤の使用、子宮摘出、敗血症、子宮内癒着などの重篤な合併症のリスクを高めます。

参照元:ScienceDirect「Endometritis Following Pregnancy」

中絶手術後に起こりやすい感染症の種類と症状

術後に感染が起きた場合、症状の出方は原因となる病気によって変わります。体のどこで炎症が起きているかによって、発熱の強さや痛みの場所が異なるため、症状の違いを理解しておくことは早期発見に役立つでしょう。

ここでは、中絶後に起こりやすい代表的な感染症を取り上げ、それぞれの特徴をわかりやすくまとめます。

症状の変化に気づくことができれば、重症化を防ぎやすくなり、早めの対応につながります。

子宮内膜炎:発熱と下腹部痛が出やすい

子宮内膜炎は、子宮の内側に炎症が起こる状態で、術後に比較的起こりやすい感染症のひとつです。発熱や下腹部の痛みとして症状が現れ、特に痛みが日ごとに強まっていく場合は注意が必要です。悪寒や食欲低下を伴うこともあります。

出血が増える、不快なにおいがするおりものが続くなどの変化がある場合は、炎症が広がっているかもしれません。早めに医療機関で診察を受けることで、治療がスムーズに進みやすくなり、症状も改善しやすくなります。

産後および中絶後の子宮内膜炎は、出産または流産後によく見られる重篤な合併症であり、母体の罹患率が高いことが知られています。これらの感染症は、通常、妊娠後数日から数週間以内に、発熱、下腹部痛、子宮の圧痛、異常悪露または出血を伴います。

参照元:ScienceDirect「Endometritis Following Pregnancy」

骨盤腹膜炎:高熱と強い腹痛が起こる

骨盤腹膜炎は、骨盤内に炎症が広がる状態で、症状が強く出ることが多い感染症です。突然の高熱や鋭い腹痛が起こり、悪寒や吐き気が加わることもあります。炎症の範囲が広いほど進行が早く、体への負担も大きくなります。

立っていられないほど痛む、熱が急に高くなるなどの変化があるときは、早急な受診が必要です。治療が遅れると症状が長引くことがあるため、迷う前に医療機関へ連絡しましょう。

感染症と正常な術後の症状の違い

中絶後の体には、回復に向かう途中でさまざまな変化が現れます。軽い痛みや少量の出血は、多くの場合、自然な術後反応のひとつとして見られますが、感染症が起きている時には症状の出方が大きく変わることも。

ここでは、正常な術後症状と感染症のサインを見分けるためのポイントを整理し、どこに注意すべきかを分かりやすくまとめます。

違いを理解しておくことで、体の変化に早く気づきやすくなり、受診の判断も迷わずに行えるでしょう。

感染症では発熱や悪臭のあるおりものがみられる

感染症が起きると、体の中で炎症が進み、発熱や悪臭を伴うおりものが出やすくなります。普段とは違うにおいが強くなる、白や黄色に濁ったおりものが増えるといった変化は、感染が進行しているサイン。こうした症状は自然に落ち着くことが少なく、時間がたつほど悪化しやすくなるため注意が必要です。

さらに、においや色の変化と一緒に下腹部の痛みが強まる、悪寒が出るなどの症状があれば、炎症が広がっている可能性があります。おりものの変化は自分で確認しやすい部分でもあるため、少しでも違和感を覚えたときは早めに相談することが大切です。

参照元:ScienceDirect「Preventing infective complications relating to induced abortion」

正常な経過では、軽い痛みや少量の出血が徐々に落ち着く

生理痛に似た軽い下腹部痛や少量の出血、茶色いおりものは、術後の経過としてみられることがあります。一般的には時間とともに軽くなっていきますが、出血量が増える、痛みが強くなる、発熱や悪臭のあるおりものを伴う場合は、正常な経過と決めつけず医療機関へ相談してください。

痛みや出血が急に強くなる場合は注意

感染症の特徴のひとつが、症状が急に悪化するという点です。昨日より痛みが明らかに強まった、急に鮮血が増えた、大きな血の塊が続けて出るといった変化は、体の内部で炎症が進んでいるかもしれません。

安静にしてもよくならない、薬を飲んでも痛みが引かない場合も注意が必要です。

こうした急な悪化は、手術の影響だけでは説明できないことが多く、早めの対応が重要になります。不安を感じる変化があれば、我慢せず医療機関に相談することで、重い症状を防ぎやすくなるでしょう。

感染症を防ぐ術後ケアと生活上の注意点

中絶手術後の体は、見た目では落ち着いているように見えても、内側では回復の途中にあります。この時期に無理をすると炎症が起きやすく、感染症につながることも。

術後の過ごし方ひとつで体の負担が大きく変わるため、基本的なケアを理解しておくことが重要です。

ここでは、術後に行うべきケアの中でも特に大切なポイントをまとめ、日常生活で気をつけたい行動を順番に説明します。体の回復を守るために意識したい項目を確認していきましょう。

安静を保ち子宮の回復を妨げない

術後の体は疲れやすく、普段どおりの動きをすると子宮の回復が遅れることがあります。横になって休む時間をしっかり確保し、体力が戻るまでは無理な姿勢や長時間の外出を避けましょう。

痛みやだるさが出やすい時期でもあるため、こまめに休憩を挟みながら過ごすと体が安定しやすくなります。

また、回復には個人差があるため、周囲のペースに合わせる必要はありません。痛みや出血量に変化がある場合は、体が負担を感じている可能性があるため、できるだけ早めに行動量を調整しましょう。安静を保つことは、感染症を予防し、体を守る上で欠かせない要素です。

薬を指示通りに服用する

術後に処方される薬には、炎症を抑えたり感染を防いだりする役割があります。指示された量より少なく飲んだり、自己判断で途中でやめたりすると、十分な効果が出ずに症状が悪化することも。体を守るためには、処方された通りに飲み続けることが大事です。

薬の効果が実感しにくい場合でも、途中でやめないよう注意してください。飲み忘れや服用時間がずれると効き目が弱まりやすいため、日常の中で習慣として取り入れる工夫をすると安心して続けられます。

不安な点があれば、遠慮せず医療機関に相談しましょう。

入浴や性行為は子宮が閉じるまで控える

術後しばらくは子宮の出口が完全に閉じていないため、湯船につかる入浴や性行為は細菌が入り込みやすく、感染症のリスクが高まります。湯船は体温を急上昇させ、出血が増える原因にもなるため注意が必要です。体が回復しきるまではシャワーで短時間済ませる方が安全。

性行為も同様に、内部が完全に回復していない時期に行うと炎症につながることがあります。出血の量や痛みの変化を確認しながら、再開のタイミングは慎重に判断しましょう。

体を守るための大切な期間として、無理をせずに過ごすことが安心につながります。

性生活の再開は14日目からが目安です。

参照元:日本産婦人科医会「人工妊娠中絶手術後の注意」

感染症が疑われる危険サイン

術後の体はまだ不安定な状態が続くため、小さな変化でも体が負担を感じている場合があります。とくに感染症が進み始めると、普段の術後反応とは違う危険なサインが現れやすく、そのまま放置すると急速に悪化してしまうことがあるでしょう。

ここでは、早めに気づくために知っておきたい症状を整理し、どんな変化が受診の目安になるのかをまとめます。

体調の違和感を見逃さず、早い段階で判断できるように、次の項目で代表的な危険サインを順番に説明していきます。

参照元:ScienceDirect「Preventing infective complications relating to induced abortion」

38℃以上の発熱や悪寒が続く

38℃以上の発熱や強い悪寒は、感染症などの合併症の可能性があります。発熱に加えて、下腹部痛の悪化、出血量の増加、悪臭のあるおりものなどがみられる場合は、早めに手術を受けた医療機関へ連絡してください。症状が強く、医療機関と連絡が取れない場合は、救急外来への相談・受診も検討しましょう。

また、熱が上がったり下がったりを繰り返す場合も注意が必要です。体力を大きく消耗する前に、早めの受診で状態を確認しておきましょう。

中絶後の評価では、病歴の段階で出血や悪臭、腹痛とともに発熱が重要なスクリーニング項目となっています。子宮穿孔などの外科的合併症が生じた場合にも、腹痛、持続出血、血尿とともに発熱を呈する可能性があります。

参照元:National Library of Medicine「Post-abortion Complications: A Narrative Review for Emergency Clinicians」

鮮血の増加や大きな血の塊が続く

術後の出血は少しずつ落ち着いていくのが一般的ですが、鮮血が増える、赤い血が続く、大きな血の塊が頻繁に出るといった変化は、内部で炎症や遺残組織が関係している可能性があります。特に、症状が急に悪化するような出方をする場合は注意が必要です。

歩くだけで出血が増える、痛みを伴うといった場合も、体が負担を感じているサイン。自然におさまることを期待して放置せず、早めに医療機関へ相談することで重い症状を防ぎやすくなります。

悪臭のあるおりものや膿のような分泌物が出る

悪臭のあるおりものや、膿のように濁った分泌物は、明らかな感染サインです。普段とは違う強いにおいが出ている場合は、子宮内で炎症が進んでいる可能性も。

こうした変化は自然に改善することがほとんどなく、放置すると症状が悪化しやすくなります。

色の変化、量の増加、においの強さなど、いつもと違うと感じたポイントがあれば早めの受診が必要です。自分で確認しやすい部分だからこそ、小さな違和感でも見逃さないようにしてください。

強い下腹部痛が続く

歩くのがつらいほどの痛みや、波のように強くなる下腹部痛が続く場合は、内部で炎症が広がっている可能性があります。通常の術後痛では、日ごとに軽くなっていくことが多いため、逆に強まっていく場合は注意が必要。

痛み止めを飲んでも改善しない、体勢を変えても楽にならないといった状況は、体がSOSを出しているサインです。我慢し続けると症状が悪化しやすいため、早めの相談が安心につながります。

感染が疑われるときの診察・検査・治療の流れ

感染症が疑われる場合、医療機関では体の状態を正確に判断するために、いくつかの検査や診察が行われます。どのような手順で確認が進むのかを知っておくことで、受診への不安が和らぎ、症状に気づいたときも迷わずに行動しやすくなるでしょう。

ここでは、まず診察で何を確認するのか、その後どの検査が行われるのか、さらに必要な治療がどのように進むのかを順番に整理して説明します。

症状の重さや感染の範囲によって対応は異なりますが、流れを理解しておくことで、自分の体がどの段階にあるのかを適切に把握してください。

内診で子宮の状態と炎症を確認する

感染が疑われる場合、最初に行われるのが内診です。内診では子宮の大きさや戻り具合、押したときの痛みの強さなどを確認し、内部に炎症が起きていないかを見極めます。

痛みの性質や場所、出血の状態は感染症を判断するうえで大切な材料になるため、この段階の診察は非常に重要。

これらの情報から、炎症の可能性や遺残組織の有無を推測し、次にどの検査を行うべきかが決まります。内診で異常が見られれば、すぐに次の検査へ進めるため、早期発見にもつながります。

超音波で遺残組織や感染範囲を確認する

内診の後に行われることが多いのが超音波検査です。超音波では、子宮内に組織が残っていないか、炎症がどの範囲に広がっているのかを画像で確認できます。外から見えない部分を視覚的に捉えられるため、感染症の原因を明確にするために欠かせない検査です。

遺残組織がある場合は細菌が繁殖しやすく、炎症が続く原因になります。また、子宮の壁が厚く見える、周囲に液体がたまっているといった所見があると、炎症が進んでいることも。画像として確認することで治療方針が立てやすくなり、対応も迅速に進められます。

痛みの少ない検査で、その場で結果がわかるため不安を抱えた状態でも安心しやすいのが特徴です。

血液検査で炎症反応を調べる

血液検査では、体の中でどれほど炎症が進んでいるかを数値として確認できます。白血球の数やCRP値といった炎症マーカーは、症状の重さを判断するうえで非常に重要。見た目や痛みだけではわかりにくい部分を客観的に把握できるため、診断の精度が高まります。

炎症反応が高いほど感染症が進んでいる可能性が高く、治療を急ぐ必要があります。逆に値が低い場合は軽度の炎症で済んでいることもあり、治療方針の幅が広がるでしょう。

また、貧血の有無や体力の状態も同時に確認できるため、体全体のコンディションを把握するうえでも重要な検査です。

抗生剤治療や再処置が行われる

検査で感染症が確認された場合、まず行われるのが抗生剤による治療です。細菌を抑えることで炎症が落ち着き、熱や痛みが改善しやすくなります。症状が強い場合には、飲み薬ではなく点滴で抗生剤を投与することもあり、体調の重さに合わせて治療方法が選ばれます。

もし超音波で遺残組織が確認された場合は、細菌が増える原因を取り除くために再処置が必要になることも。遺残組織を取り除くことで炎症の進行を抑え、症状の悪化を防ぎやすくなります。

抗生剤治療を開始すると症状が早い段階で楽になることがありますが、途中でやめると再発しやすいため、医師の指示に従うことが何より重要です。

中絶手術後の感染症が将来の妊娠に与える影響

中絶手術後の感染症は、早めに治療すれば大きな後遺症を残さないことが多いものの、放置すると子宮や卵管にダメージが残り、将来の妊娠に影響してしまうことがあります。体のどこに炎症が起きたのか、どの程度進んだのかによって、後の妊娠しやすさが大きく変わるため、症状に気づいた段階で受診することがとても大切。

ここでは、感染症が妊娠へ与える影響を「初期で治療した場合」と「重症化した場合」に分けて整理し、炎症がどのように子宮や卵管に作用するのかをわかりやすく説明していきます。

安全かつ合法的な中絶が認められる現代では、上部生殖器感染症の発症は比較的まれです。現在、米国では合法的な人工妊娠中絶における上部生殖器感染症の発生率は、一般的に1%未満です。

参照元:National Library of Medicine「Prevention of infection after induced abortion」

早期治療なら妊娠への影響は少ない

感染症がごく初期の段階で見つかり、すぐに治療を始めた場合は、将来の妊娠に大きな影響を残さないことがほとんどです。炎症が軽いうちにおさまれば、子宮内の環境や卵管の動きが損なわれにくいため、回復後は通常と変わらない妊娠経過をたどるのが通常。

また、早期治療では炎症の広がりを抑えられ、組織に傷が残るリスクも低いでしょう。抗生剤が効果を発揮しやすく、症状が短期間で落ち着くことも期待できます。

症状が軽くても「何かおかしい」と感じた段階で受診することが、妊娠への影響を減らすうえで非常に大切です。迷わず相談することで不安も和らぎ、安心して体を整えることができます。

重症化すると卵管癒着で妊娠しにくくなる

感染症が重症化し、炎症が卵管まで広がると、卵管が癒着して動きが悪くなることがあります。卵管は卵子を運ぶ大切な通り道で、癒着が起きると受精がしにくくなるため、不妊の原因のひとつになることも。

卵管癒着は自覚症状がほとんどないため、発見が遅れやすい点が問題です。超音波では見えないことも多く、炎症を放置してしまうと、気づかない間に妊娠しにくい状態へ進むことがあります。そのため、強い痛みや発熱が続く時点で受診することが欠かせません。

治療によって症状が改善しても、炎症の経過が長かった場合は、卵管の状態を定期的にチェックすることが望まれます。

炎症を放置すると子宮環境が悪化する

感染症による炎症をそのまま放置すると、子宮内膜がダメージを受け、着床しにくい状態になることがあります。受精卵が育つためには、子宮内膜が柔らかく整っている必要がありますが、炎症が続くと内膜が薄くなったり、部分的に硬くなったりするため、妊娠のしやすさに影響が出ることも。

さらに、炎症が繰り返されると子宮内に癒着ができることもあり、生理の量が大きく変化したり、周期が乱れたりすることがあります。これらの変化は着床障害の原因となり、妊娠を望んだときに時間がかかるケースも少なくありません。

症状を軽視せず、早めに受診し治療を行うことで、子宮の環境を守りやすくなります。異変を感じたら、早い段階で医師に相談することが、将来の妊娠にとっても大きな安心につながります。

安全に受けるためのクリニック選びのポイント

中絶手術を安全に受けるためには、クリニックの設備や体制をしっかり確認することが欠かせません。感染症のリスクは医療環境によって大きく左右されるため、どのような管理が行われているのかを知ることがとても大切です。

ここでは、安心して手術を受けられるクリニックを選ぶためのポイントを具体的に整理していきます。事前に知っておけば、迷いや不安が減り、より安心して手術に向き合えるでしょう。

滅菌体制が整っている

手術後の感染症を防ぐうえで、クリニックの滅菌体制が整っていることは非常に重要です。手術器具の洗浄・消毒が徹底されているか、使い捨ての器具が適切に採用されているかなど、基本的な管理がしっかりしているかが安全性を大きく左右します。

また、診察室や処置室の清潔さ、スタッフが手袋を交換しているか、衛生管理が目に見える形で行われているかも確認のポイント。こうした小さな積み重ねが、手術を受ける側の安心感につながります。

不安な場合は、事前のカウンセリングで滅菌体制について質問してみるのもよいでしょう。

術前検査が丁寧

安全に手術を受けるには、術前検査がどれだけ丁寧に行われるかが大きな鍵になります。体調や妊娠週数、子宮の状態を正しく把握しないまま手術を行うと、合併症のリスクが高くなるため、検査の質は非常に重要です。エコー検査や血液検査が適切に行われているか、妊娠の進行状況が正しく確認されているかがチェックポイント。

また、持病やアレルギー、麻酔の経験などについて詳しく聞いてくれるかどうかも大切です。これらの情報は手術の安全性に直結するため、丁寧に確認してくれるクリニックほど信頼できます。

必要な検査を省略せず、リスクを事前に把握したうえで手術を進めてくれるかどうかが安心して任せられるかの判断材料になります。

術後フォローが手厚い

手術後の体調は人によって大きく異なるため、術後フォローが丁寧なクリニックを選ぶことが重要です。術後の過ごし方や注意点を明確に説明してくれるか、異変が起きたときに相談しやすい体制が整っているかなどが、フォロー体制を判断するポイントになります。

また、術後数日の変化をどのように見れば良いか、受診が必要になる症状を具体的に教えてくれるかどうかも大切です。こうした情報があるだけで、不安を抱えすぎずに回復を進めやすくなります。万が一の症状に気づきやすくなるため、感染症の早期発見にもつながります。

中絶手術後の感染症に関するよくある質問

中絶手術後は、体の変化が一気に訪れるため不安を感じやすく、感染症との見分けが難しい場面もあります。どの症状が正常で、どのようなときに受診が必要なのかを理解しておくことで、迷わず適切に対応しやすくなるでしょう。

ここでは、多くの人が気になりやすい疑問を取り上げ、手術後の体調の見方や注意すべきポイントをわかりやすく整理していきます。

感染症はいつ起こりやすい?

感染症が起こりやすいのは、術後1週間前後のタイミングです。手術によって子宮頸管が開いた状態が続き、粘膜がまだ回復していない時期は細菌が入りやすく、炎症が起こるリスクが高まります。

特に術後2〜3日は体力が落ちているため、免疫の働きが弱まり、感染しやすい状態になっています。

また、遺残組織が残っている場合や、出血がなかなか減らない場合も感染症が起こりやすい状況。体の回復がスムーズに進んでいないサインでもあるため、下腹部の痛みやだるさが強くなるときは注意が必要です。

痛みや出血はどこまでが正常?

正常な術後症状としては、生理痛に似た軽い下腹部痛や、少量の出血が数日〜1週間ほど続くことがあります。これらは子宮が元の大きさに戻る過程で起こる自然な反応で、多くの場合は日ごとに落ち着いていきます。色も薄い赤〜茶色へ変化していくことが一般的。

一方で、出血量が急に増える、激しい痛みが波のように続くなどの症状が出る場合は、感染症や遺残組織が原因となっている可能性があります。特に鮮血が続く場合や、大きな血の塊が頻繁に見られるときは注意が必要です。体の回復がうまく進んでいないサインかもしれません。

「いつもより変だ」「感覚が強まっている」と感じた場合は、その直感を大切にし、早めに受診を検討すると安心です。

参照元:National Library of Medicine「POST-ABORTION CARE」

診療時間外の高熱はどうする?

診療時間外に高熱が突然出た場合は、まず冷静に体調を確認し、38℃以上の発熱や悪寒が強い場合は救急相談窓口に連絡して指示を受けることが大切です。

夜間や休日でも相談できる窓口はあり、受診が必要かどうかを判断してくれます。自宅で無理に様子を見るよりも、早めに専門家のアドバイスを受けましょう。

また、高熱に加えて強い下腹部痛や大量の出血がある場合は、急なトラブルの可能性があるため、救急外来の受診を検討するべきです。

中絶後に別れる確率が高いと言われる理由は?

中絶後にカップルが別れやすいと言われるのは、精神的な負担や価値観のズレが大きく表れやすい時期だからです。手術後はホルモンバランスが一気に変化し、気持ちが不安定になりやすく、涙が出やすくなることもあり、この揺れがパートナーとのコミュニケーションに影響することがあります。

また、中絶という出来事に対する受け止め方は人によって大きく異なり、責任の感じ方や今後の考え方がズレてくることもあるでしょう。この違いが積み重なると、お互いに距離を感じやすくなります。

一方で、丁寧に気持ちを伝え合うことで関係が深まる場合もあるため、一概に「別れる」と決まっているわけではありません。状況を共有し、負担をひとりで抱え込まないことが大切です。

まとめ:感染症を疑う症状は放置せず早めに診察を

中絶手術後の体は変化が大きく、軽い痛みや出血などの自然な反応が見られる一方で、感染症につながるサインが隠れていることもあります。

特に高い発熱や悪臭のあるおりもの、急に痛みが強くなるといった変化は、体が助けを求めている合図です。早めに受診できれば、炎症が広がる前に治療が進み、後の負担を少なくできるでしょう。

不安を抱えたまま様子を見るよりも、気になる症状がある時点で医療機関へ相談する方が、心も体も安心しやすくなります。小さな違和感でも放置せず、早めに行動することが自分を守る一番の近道となるでしょう。

監修医情報

理事長・院長

佐久間 航 医師

佐久間 航
略歴
平成12年 大阪医科大学医学部 卒業
平成18年 医療法人 大生會 さくま診療所 開院
所属・資格
  • 医学博士
  • 産婦人科専門医
  • 母体保護法指定医
  • 日本東洋医学会 漢方専門医
所属学会
  • 日本更年期学会 会員
  • 日本心身医学会 会員
  • 日本周産期新生児学会 会員